オールラウンドプレーヤーとして有名な羽生竜王ですが、時折指される振り飛車でもその強さを遺憾なく発揮されます。そんな羽生流振り飛車の名局となった渡辺棋王との一戦です。 第60期王座戦五番勝負第4局 2012年10月3日 渡辺明2冠(1勝) vs 羽生善治2冠(2勝) 対局場:神奈川県泰野市「陣屋」 持ち時間:各5時間 王座戦では前人未到の19連覇を果たすなど、無敵の強さを誇っていた羽生2冠ですが、この前年には渡辺竜王にまさかのストレート負けを喫してタイトルを失っていました。しかし王座戦との抜群の相性は健在で、この年は当然のように挑戦者に名乗りを挙げ、第3局まで2勝1敗として奪還に王手を掛けます。 渡辺2冠の初手▲7六歩に対し、羽生2冠は△3二飛! 初見だとギョッとするような手ですが、▲2六歩から角頭を狙われても後手も十分戦えることがこの少し前に発見されていました。後手番で角道を止めずに三間飛