「料金改定は最後の選択肢としてきたのですが、財務状況の厳しさ、原発再稼働のスケジュールがはっきりしないことから改定の幅や実施時期について具体的な検討を始めました。当社の置かれた状況に、何とぞご理解を得られるようお願いします」 九州電力の瓜生道明社長は、10月30日の平成24年度中間決算の発表に合わせた記者会見でこう語ると、テレビカメラに向かって深々と頭を下げた。かねてささやかれてきた料金値上げはこの瞬間、既定路線として動き出した。 九電は11月末にも一般家庭用電気料金の10%値上げを経済産業省に申請する方針だ。来年4月にはほぼ間違いなく電気代は1割上がることになる。 九電の窮状を考えると、ある程度の値上げは仕方がない。中間決算の最終損失は1495億円にのぼり、通期では4千億円もの巨額損失が見込まれるからだ。 なぜ九州随一の優良企業がこのような事態に陥ったのか。理由は一つしかない。昨年3月の