「野球の危機」は切迫している。賭博問題だけではない。家庭とその周辺で実感する。 記者の長男は小学3年生。1年生だった2014年6~7月にブラジルW杯が地上波やBSで放送されたこともあり、サッカーの虜(とりこ)になった。サッカーチームに入り、もう2年。ただ入団の際、父は「3年生からは野球チームに入るんだよ」と言い、長男は「分かったよ!」と返した。確かに約束したはずだったが、この春もボールを蹴り続けている。 記者自身、小3で少年野球チームに入り、大学まで続けた。本心は息子にも野球をやらせたく、ある日少年チームの体験会に参加させた。だがその時、サッカーをやるときと同じ笑顔を長男に見ることはできなかった。 体験会を再録する。まず「集合! ちゃんと並んで!」。複数の年配のコーチの厳しい言葉が響く。その後も「順番守って」「君はまだだよ」。そんな声かけばかり。列が整わないと、ボールを投げられないしバット