2020年のノーベル物理学賞はブラックホールがこの宇宙に実在することを理論と観測で示した理論物理と天文分野の研究者に贈られる。一般相対性理論の研究からブラックホールが現実の宇宙で必然的に生じうることを1960年代に示した英オックスフォード大学のペンローズ(Roger Penrose)名誉教授と,天の川銀河の中心を周回する天体を1990年代初めから長期的に観測して巨大ブラックホールが存在することを明らかにした独マックス・プランク地球外物理学研究所のゲンツェル(Reinhard Genzel)教授とカリフォルニア大学ロサンゼルス校のゲズ(Andrea Ghez)教授の3人。賞金1000万スウェーデンクローナ(約1億2000万円)の半分がペンローズ氏に,残り半分がゲンツェル,ゲズ両氏にそれぞれ贈られる。 星がつぶれてだんだん小さくなり,ブラックホールになる過程を図に示す。最初は星の表面から出た光