過去のオマージュではなく、現代の街とともに躍動する2017年のシティポップ。クイーン・オブ・シティポップ、土岐麻子の最新作『PINK』は、エレクトロニックミュージックを軸にコンテンポラリーなポップスとしての洗練を極めたアルバムだ。都会の孤独や渇きを癒やし、潤す、その甘美な歌声は、ハイレゾ音源の質感やレンジの広がりが聴き手をどっぷりと浸れる奥深い世界へと誘う。そんな彼女のシティポップ観や都会の色としてイメージするピンクの色彩で描かれた新作の作品世界について、さらにはハイレゾを含めた音へのこだわりについて、話を聞いた。 取材・文 / 小野田雄 撮影 / 大森克己 シティポップとは、歌詞の世界を含めて、街のスピードに合う音楽 土岐さんは数々の素晴らしい作品を通じて、シティポップの女王とも評されていますが、ご自身でシティポップをどういう音楽としてイメージされていますか? 私にとってのシティポップは