【ブリュッセル福島良典】欧州連合(EU、加盟27カ国)の行政府・欧州委員会は3日、経済・金融危機の打撃を乗り越え、域内の成長と雇用を促進するための2020年までの経済戦略草案を発表した。深刻な財政危機に陥ったギリシャのケースを教訓に加盟国間の経済政策の連携強化をうたっている。 バローゾ欧州委員長は記者会見で「経済成長の鈍化で欧州の未来が危険にさらされている」と強い危機感を表明し、ギリシャの財政悪化が欧州単一通貨ユーロの信認低下を招くなどEU全体の危機につながった点を踏まえ、加盟国に対し「欧州の経済統治を強化する」必要性を訴えた。 各国の失業率が高止まりする中、景気回復と雇用創出はEUの重点課題。このため、欧州委草案は(1)20~64歳の生産年齢人口の就業率を現在の69%から75%に引き上げる(2)域内総生産(GDP)に占める研究開発投資の割合を現在の1・9%から3%に増やす(3)貧困層(約