2014年11月30日、日曜日。第一待降節(1. Advent)と呼ばれるこの日に、ドイツの長いクリスマスのお祭りが始まる。町の広場には、高いもみの木を使ったクリスマス・ツリーが立てられ、クリスマスの市場は、ツリーの飾りを買ったり、甘酸っぱい香りのグリューヴァイン(ホットワイン)を飲んだりする人々で賑わう。 エネ業界最大手が原子力・火力から事実上の「撤退」 だがクリスマスを待ちわびるドイツの静寂は、この日の夕刻に流れたニュースによって打ち破られた。特にエネルギー業界で働く人々にとっては、青天の霹靂だった。ドイツ連邦政府にとっても、寝耳に水だった。 この国で最大のエネルギー企業エーオン(本社・デュッセルドルフ)が、2016年に会社を2分割し、原子力・化石燃料による伝統的な発電事業、エネルギー取引、エネルギー資源の採掘などの事業を将来新設する別会社に移管する計画を発表したのだ。これまでの基幹事