ファスト風土。 歴史が欠如し、コンテンツも、ネオンサインも、文化的なシンボルも、すべて外部から持ち込んでつくられた画一的な社会空間。いつ頃からか、このファスト風土を哲学者ボードリヤールのハイパーリアルに即して眺めながら、ぼんやり考える癖がついていた。 もともと歴史も文化も無かった山野に突如として立ち上がってきた、コピーアンドペーストと記号で埋め尽くされたファスト風土。ここで見かける文化的なシンボルは、どれも真贋が定まらない。そもそも、誰が真贋を気にしているというのか?国道沿いのガラス工芸品店の“癒し風BGM”を、愛国ラーメンの“こだわり”を、やけに小奇麗な“パワースポット”を、胡乱げに眺め回す人間がどれぐらいるというのか?仮に胡乱げに眺め回したとして、それで社会適応上、有利になるとでもいうのか。そうではあるまい。そうした文化的シンボルひとつひとつの真贋を気にしてまわっていてはきりがない。い
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