今晩は、資本家が剰余を労働者から搾取する行為の正当性のなさについて。 「資本家が労働者から剰余を搾取する行為が正当である」と主張されるときには、往々にして以下の3つの理由が提示されます。 企業における価値増殖は資本家自身の労働に因るものだ 資本家は自己資本を投入したのだからそれに対するリターンを得る権利がある 先見性のある資本家のよりよい技術選択が価値増殖を促進しているので、資本家の先見性は増殖した価値の権原となる これらについて一つ一つ検討してみましょう。 企業における価値増殖は資本家自身の労働に因るものだ 価値増殖をもたらすのは労働です。たしかに資本家の労働も価値増殖をもたらします。しかしもちろん労働者も資本家の下で労働しているのです(労働者を雇わず社長のみが働く個人事業主を除いて)。 したがって「すべての価値増殖分=剰余の原因は専一的に資本家の労働にある」という主張は誤っています。