春一番が、7月3日未明、就寝中に肝硬変で亡くなった。47才だった。 昔から酒が好きだった彼は、飲み過ぎがたたり腎不全で入院。そこからすい臓、肝臓、腎臓と内臓を全部痛め、それが原因で体重が激減。ニュースによると最近骨粗しょう症にもかかっており満身創痍だった。 ニュース欄の訃報に目を留めた俺は「ついにこの日が来たか」と受け留める他なかった。 近しい人間と交わす彼についての話題はここ数年「もう難しいかも」といったものだったし、既に大きなヤマを何度も越えて来たような彼だったから、覚悟を決めていたのはきっと自分だけではなかったろう。 直ちに連絡したある友人は「あらーマジー!いつ?」といった短い調子で、覚悟を感じさせるものだった。 しかし俺もどこかでは「何とか乗り越えてくれるだろう」と願ってもいた。 そして私の胸には、夢であったかと思うようなヒリヒリとした、しかし温かく心地良い記憶が去来したのだった。