特集 ファッション・ドラッグを考える 手記 密売人と呼ばれた、わ・た・し。 編集 弁護士 小森榮 ファッション感覚で薬物を使ううちに 大麻やエクスタシーの事件では,意外な顔をもつ密売人を担当することが時々あります。 「密売人」というと,お金儲けのために誰にでも,どんな薬物でも見境いなく売りつける,不良外人や暴力団ふうの人を想像しますが,時には,おしゃれでリッチな若者に出会うことがあるのです。 もともとは,自分がファッション・ドラッグのユーザーで,自由になるお金があり,海外への行き来も多い環境で,まるでブランド品を買うような感覚で,大麻やエクスタシーを大量に買い込んだり,密輸して,知り合いに自慢し,これを人に売ってしまう例があるのです。 自分が薬物を使うことと,これを密輸したり,他人に売ったりすることの間には,本来大きな隔たりがあるはずです。 ところが,ファッション感覚でドラッグを使う人たち