「書きすぎだよ」 英単語で埋まっている私のノートを見て、中学の同級生はそう言っていた。 ノートにびっしりと書いてある英単語帳を見て、何かを思ったようだ。 「何でそんなに書いて覚えようとするんだよ」 彼は割と成績が良い人で、部活動で忙しい中でも、いい成績をキープしていた。 それに比べて、私は明らかに劣等生だった。 人一倍努力しなきゃいけないと思っていたのだ。 「自分は物覚えが悪い人間だから、人の倍は書かなきゃ覚えられないんだ」 そう言って私はノートに目を向けていたと思う。 同級生は「ふん」と言って、去っていった。 中学2年生まで、私はほとんど勉強というものをしたことがなかった。 読書が大の苦手で、文字の読み書きが人一倍遅かったのだ。 学校の先生の話を聞くことも苦手な子供だった。 いつも落ち着きがなく、椅子をグラグラしていた。 そんな私だったが、中学2年の終わりになると、さすがに高校受験に向け