4月12日。村上春樹ファンはこの日を、一日千秋の思いで待ち続けてきただろう。 単行本3冊と文庫本6冊の累計が770万部を突破した『1Q84』(新潮社)以来となる、3年ぶりの長編『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)の発売。それは、これまで明らかにされてこなかった内容が、やっと白日の下にさらされるということ。そもそもそのタイトルからして、謎を呼んだ。 「村上ファンの間では、多崎つくるが主人公? 多崎が色彩を持たないの?など、タイトルが発表になって以降、疑問が飛び交っていただけに、読むのが楽しみ」(40才・主婦) 前作を上回るスピードで予約が殺到。発売前から2回も重版がかかり、なんと45万部からのスタートとなった今作。これは、村上春樹流に言えば、「ごく控えめに言っても悪くない」数字だが、いったいなぜ? 出版社が「その本を売りたい」と思った時にとる、一般的な方法は、“プ