芸能・文化 『松山御殿の日々 尚順の娘・茂子の回想録』 首里の生活文化伝える2011年1月30日 Tweet 『松山御殿の日々 尚順の娘・茂子の回想録』 知名茂子著、尚弘子監修 ボーダーインク・1575円 本書は、尚家の末えいが語る首里の生活文化誌である。古きよき時代の王朝文化の名残が記録されている。筆者は、琉球最後の国王尚泰の孫。父は尚泰王の第四子・尚順男爵、松山王子である。 尚順は、言わずと知れた沖縄最初の新聞「琉球新報」の創刊に参画し、初代社長を務めた。その遺品の一部、直筆の色紙、手紙、印鑑などが琉球新報新聞博物館には展示されているが、食文化にも詳しい食通で、「桃原農園」を起こした人でもある。 書名にあるように、昭和初期までの嫁ぐ21年間を過ごした松山御殿の生活や暮らしぶりの日々を父・尚順を絡めてつづった貴重な書である。中心をなすのは二章の「松山御殿の食卓」。年中行事を主体に、