冤罪事件に関わった元検事・市川寛氏が2011年5月23日、東京都内で開催されたシンポジウムで、新人のときに受けた理不尽な「検事教育」の実態を赤裸々に語り、聴衆を驚かせた。その要点をまとめた記事はすでにニコニコニュースに掲載しているが、市川氏が明らかにした内容は、実体験にもとづく貴重な証言として細部にわたって注目に値する。そこで、シンポジウムでの発言内容を全文、書き起こして紹介する。 ■「被疑者に暴言をはきたくて検事になる者はいない」 私は平成13年(2001年)、当時8年目の検事だったときに、佐賀地方検察庁の3席検事(という立場にありました)。比較的規模の小さな地検では、トップが検事正、2番目が次席検事、その次が3席検事と言いまして、いわば「平の筆頭」という立場にいました。 そのとき、佐賀市農協の背任事件で「独自捜査」といって検察庁だけが行った捜査の主任検察官をつとめました。私は当時の組合
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