アレルギー症状の発症に心理的な要因が関与しうることは広く知られています。有名な例では、1886年に耳鼻科医のマッケンジーは、バラの花粉にアレルギーがあると思い込んでいる32歳の女性の症例を報告しています。 マッケンジーはその女性が真にバラ花粉にアレルギーがあるかどうかを調べるために、人工的に作った清潔なバラの造花を用意しました。そして診察の最中に、造花であるとは知らせず、その造花を女性に見せたところ、鼻腔や口腔の発赤や鼻汁の分泌が見られました。バラの花粉なしでも、アレルギー症状を引きおこすことができたのです。マッケンジーは、この女性に、バラが本物ではないことを知らせました。彼女は驚きましたが、数日のうちに、本物のバラをアレルギー症状なしに嗅げるようになったそうです。 この話はたいへん示唆的なので、今後、このページでは何度も登場します。このバラアレルギーであると思い込んでいた女性を仮にミズ・