人間工学は、政治との接点は断片的で、経済効率向上に寄与しうるという理解も浸透しておらず、モラルの点でもいまだしの感がある。この一つの要因は、消費者やユーザが人工物の不快さを自分の問題として認識していることにある。 黒須教授 2014年11月19日 人間中心設計という考え方を生み出した母体である人間工学は、その歴史を振り返るとたえずその普及について壁にぶつかってきたといえる。30年ほど前にIEA (International Ergonomics Association)が作った資料に、人間工学を実践すれば、これこれのメリットがあるという話をイラスト付きでまとめたものがあった。もう現物は紛失してしまったので、おぼろげな記憶に頼ると、エラーを減少させることによって金銭的な負荷を減らすことができるとか、安全になって人々が安心して働けるようになる、といった、まあ当然考えられるようなポイントが並べて