今年夏の日韓関係で目立ったのは、両国が領有権を主張する竹島を巡る一連の騒動だった。これを見て「ドラマや音楽など文化を中心とした交流で相互理解が進んだのに残念だ」と思っている人がいるかもしれないが、そうした考えには二つの問題がある。 一つは、文化交流への過大評価だ。小針進・静岡県立大教授らが両国で行った調査によれば、文化交流は相手国への好感度を高めるが、政治的態度に大きな影響は与えない。日本の音楽やアニメが大好きな韓国人は珍しくないが、それと領土問題は別ということだ。韓流にはまる日本人にも同じことがいえる。 もう一つは、政治・外交面での関係弱体化を無視していること。文化交流が進む一方で、両国間の政治レベルの関係はかつてなかったほどに細いといえる水準だ。特に、植民地時代の経験から良くも悪くも「日本を知っている」はずだった韓国で、近年は、日本に対する無知、無理解、無関心が目立っている。 私は数年