今日も日本のあちこちで、職人が丹精込めた逸品が生まれている。これは、そんな世界がうらやむジャパンクオリティーと出会いたくててくてく出かける、こだわりの小旅行。さてさて、今回はどちらの町の、どんな工場に出かけよう!(ひととき2022年5月号 「メイドインニッポン漫遊録」より) 芸術の都、イタリアのフィレンツェに、服好きがいつかはスーツを仕立ててみたいと憧れるサルト(イタリア語で仕立屋を意味する)の名門がある。「リヴェラーノ&リヴェラーノ」という店で、オーナーのアントニオ・リヴェラーノさんは11歳で修業を始めて1940年代にフィレンツェでアトリエを創業したイタリアのサルト界の重鎮。フィレンツェスタイルと呼ばれる彼の仕立てるスーツは、芸術的な曲線を描くエレガントなシルエットと軽く柔らかな着心地で、多くの著名人を顧客に持つ。 リヴェラーノ&リヴェラーノが知られるようになったのは、1990年代後半~