悲喜こもごもを抱えた背中を見送ってから、大学の一室では無名戦士たちの戦いが繰り広げられいるのを知っているだろうか。 ビシッとスーツを着た事務屋がガラガラと台車を押しながら戦場に入ってくる。それが開戦の合図。 待ち受けるはラフな格好をした歴戦の猛者、ニコニコ顔の志願者、騙されて連れてこられた無表情の新人。 誰もが等しく山のように積み上げられた紙片に向き合う時間が始まる。 ここから一週間、ひたすら紙に書かれた論理を追う。そしてそれが正しいのか考え続ける。 白紙は最高の救いだ。何も考えなくてよいから。 綺麗に述べられた論理は癒しである。極まれにそういうものを見つけると、ハッカのような爽やかさが頭を駆け抜けるようだ。 ミミズのような字ならまだ良い。 脈絡のない記述、楔形文字のような乱文、何か言っているようで何も言っていない小泉構文など無意味から意味を見出すことほど苦痛はない。 たかが紙束と侮るなか