私は、医師になって13年目、在宅医としては1年目の医師です。 消化器内科医として急性期病院で救急医療と消化器癌などの治療を行ってきました。患者さんが癌末期になった場合、病院で最期を迎えられるケースがほとんどです。中には自宅での生活を希望され、在宅医に依頼をした方もいますが、それは一握りです。本当は自宅での生活を求めていたけれども、叶えることができなかった患者さんもいらっしゃったと思います。 昨年、私は緩和ケア病棟で研修を行った後、地域の病院で、在宅医療を中心に仕事を始めました。その中で私自身はもちろん、ご家族もきっとご本人も非常に満足できたであろう在宅での看取りを、経験できました。その患者さんの報告から、在宅での看取りが可能になるために、現状の問題点を考えたいと思います。経過を日記風にまとめました。少し長くなりますがご了承願います。 紹介するのは、80歳代の男性で、病名は胃癌、肝転移、リン