~語りかける絵の面白さ~ ロングセラー絵本「ぐりとぐら」(福音館書店)。表紙では2匹が並んで歩いているが、最初の場面では突然背中を向けている。始まり方が意外性に満ち、ついページをめくりたくなる。 「仕事のことになると作者の 中川李枝子 さんと、妹で絵を担当する 山脇百合子さんは、基本的に編集部を通してやりとりをされます」と話すのはシリーズ6作目「ぐりとぐらとすみれちゃん」を担当した5代目編集者の 井上博子さん。 中川さんは、青色インクの万年筆で200字詰め原稿用紙にストーリーだけを書く。場面割りはしない。書き上がった原稿は担当編集者を介し、山脇さんのアトリエに。 山脇さんが文章からイメージする場面を鉛筆で描いたラフ画を作り、それを編集者がまた中川さんに。そんな往復を繰り返し、絵本は完成する。 「ももたろう」など自身の絵本もある初代担当編集者の松居直さんは、絵について「単純な線画だけれども