どの分野でも古典的な重要文献はあるはずである。人文地理学でも例外ではないだろう。 ただ、人文地理学では古典文献の重要性が他分野より低いかもしれない。例えば私の所属大学でも哲学主専攻でカントの原著を読む演習の授業が存在する。しかし、古典文献の講読を目的とした人文地理学の授業は存在しないものと思われる。文献講読の授業自体はあるが、『地理学概論』(朝倉書店)などのように近年発行された人文地理学の教科書の講読であった。(ただし、所属大学では伝統的に地理学専攻が理学部にあった大学であるという点は考慮すべきかもしれないが) とはいえ、古典文献がどうでもよいというわけではなく、大学の都市地理学の講義ではバージェスの同心円モデルやクリスタラーの中心地理論は必ず出てくるだろうし、立地論の講義ではチューネンの孤立国やウェーバーの立地三角形は必ず出てくるだろう。授業等では深く扱われなくとも、原典を読んでみると得