香椎豊次郎の“報国丸の話”という実録からヒントを得て菊田一夫が創作した海洋活劇。脚色は監督稲垣浩と「彼奴を逃すな」の村田武雄。「吉川英治作宮本武蔵より 決闘巌流島」につき稲垣浩が監督した。撮影は「黒帯三国志」の飯村正。主な出演者は、「ならず者(1956)」の三船敏郎「森繁よ何処へ行く」の岡田茉莉子、「大暴れチャッチャ娘」の小泉博、「栄光と驀走王」の田崎潤、その他小杉義男、上田吉二郎、清水元。なお、少年囚には殆ど新人を起用した。 昭和九年、初夏の浦賀港。刑務所船平安丸に収容された少年囚達は、海員として更正できるよう水兵と同じ訓練を受けていた。彼等の唯一の楽しみは遠洋漁業だった。ある日、遠洋漁業船愛天丸の新船長松尾徳造の就任式が行われたが、松尾は少年囚の野次に圧倒され、壇上で立往生して漁撈長の猪ヶ谷にたしなめられる。その夜、松尾は下宿で新妻みきと食事中、階下の桶屋に逃げて来た脱走少年囚の安城を