1500億円を超える不適切な会計操作が行われていたとの第三者委員会からの指摘を受け、7月21日付で東芝社長を辞任した田中久雄氏。田中社長は、2013年の就任時にはどのようなことを語っていたのだろうか。 「利益を犠牲にしなくても、新しいビジネスの創出、新市場の開拓はできると思っています。それができたらさっさとやれよと言われるかもしれませんが、二律背反をやりたいと思っています」「過去最高の売上高はリーマン前の2007年度の7兆6680億円です。私が社長を何年やるか次第ですが、過去最高売り上げは達成したい」 田中氏が記者に語っていたのは、高い成長目標である。今になって振り返れば、「二律背反をやる」のは困難であり、「過去最高売り上げ」も難しい目標だった。しかし、リーマンショック直後から会計操作を繰り返していたことを考えると、就任時のこれらの発言は「早く高い利益成長をすることで過去の粉飾分を相殺した