映画をはじめとした映像制作の現場では、長らく過酷な労働環境が問題視されてきた。長時間労働が引き起こす労災や低賃金による貧困は言うに及ばず、セクハラやパワハラ、厳しい上下関係によって生じる現場での物理的暴力や立場差を利用した性暴力など、これらは長らく表に出ることはなかったが、ここ数年は実名による告発や提訴が報じられ、耳目を集めるようになった。 制作会社に務めるAさん(40代半ば)は業界歴15年。20代後半から制作部としてさまざまな現場に入るようになった。なお映画の現場における制作担当は、スケジュールや出納の管理、ロケ地の選定や交渉、現場スタッフの食事や宿泊施設の手配など、実制作以外のあらゆる雑務をこなす。 Aさんが今の制作会社に入社したのは4年前。現在ではプロデューサーの立場で作品を仕切っている。映画もドラマも両方手掛けるが主軸は映画。その予算規模は数千万円から数億円と幅広い。そのAさん曰く