ニュースなどでは、よく「弁護人が被告人の精神鑑定を要求した」と流れることがあります。 このような鑑定で精神に障害が認められると、場合によっては、「心神喪失(しんしんそうしつ)」が認められて、犯罪が成立しないことになったり、「心神耗弱(しんしんこうじゃく)」が認められて、犯罪の成立自体は認められるものの刑が通常より軽くされたりすることがあります。 そのため、被告人を罪から免れさせたい、もしくは刑を軽くさせたい弁護人は、よく被告人の精神鑑定を要求し、被告人が心神喪失や心神耗弱の状態であったと主張するのです。 しかし、「刑法で禁止された行為で他人や社会に損害を与えたというのに、心神喪失で無罪にまでなるのはおかしいのでは?」「精神鑑定なんていらないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。 このコラムでは、心神喪失・心神耗弱について、裁判所の見解も交えて説明していきます。 1.犯罪の成立要件
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