日本のGDPの4割を支える製造業の中でも極めて競争力が高い“素材・部材”の産業の中でも、特に銅産業(鉱山・製錬・圧延)については、資源の希少性が高まることで、国家存亡の戦略的な産業へと重要性が高まっていくものと推察します。 これから起こる未来に影響を及ぼす資源の制約を予測する場合に、160[2009.6]で論じた石油ピークアウトに加えて、メタル・ピークアウトについても考察しておかねばなりません。金属資源の鉱石埋蔵量について15[2006.5]で「鉛・亜鉛・錫が約20年、銅が40年、ニッケルが60年、鉄が70年ぐらい」と前述しましたが、その後、中国に代表される新興国の需要爆発と先進国における地球環境問題の高まりから、2010年の今現在で最も懸念されるのが銅の資源不足です。世界的な「省エネ・省資源の流れ」によって、電子制御の増加と電気エネルギーへの動力源シフトが進み、銅の需要が高まる一方です。