ゲームオブスローンズ最終章でティリオン・ラニスターが「この世界で最も強いものは物語だ」と言っていた。最近、この言葉をとみに思い出す。 安倍元総理銃撃事件から一か月以上経ち、山上容疑者の生い立ちや境遇に同情する声が聞かれるようになってきている。いわく「山上は烈士である」「山上は現代のジョーカーである」など彼の物語に同情する声が少なくない。最近は山上ガールズなども出てきているみたいである。統一教会との関係も引き合いにしながら自力救済に至るしかなかった彼の境遇に同情が寄せられるのは自然といえば自然ではあるのかもしれない。 しかし思い返すに、僕たちはいつだって物語に振り回されてきた。昨今のフェミニズムに代表されるような女性の物語、SDGsのような地球の物語、弱者男性論などの男性の物語、戦争、差別など物語を導線に人が集まり群れをなすことでなにか大きなものが形成されていった。他人と物語を共有することで