ロードレースが舞台のミステリ、駆け抜けるようにイッキ読み。 スゴ本オフ@ミステリでオススメされたもの。カネヅカさん曰く「泣けるスポ魂です!」に納得。恋愛あり惨劇あり、盛りだくさんの内容なのに、ムダが一切ない。伏線もアイテムもトラップも、きちんと計算して引かれ措かれ配置されており、まるでレーサーの筋肉のように引き締まっている。レースの駆け引きと、悲劇の謎解きは、どちらも心理戦。見事にオーバーラップしており、構成も見事。 そして、タイトルの「サクリファイス(犠牲)」、読み終わったら、もう一度、表紙を眺めたくなる。そして、「サクリファイス」に込められた二重三重の意味を再確認して、思わず胸が熱くなる、肌が粟だつ。 気に入らないのは語り手。一人称形式の唯一の「主人公」なのに、どこか他人事、脇役のような口調に違和感を抱く。チームの皆と当たり障りなく泳ぎ、真顔で「お世辞」を言い切れる。彼女を失ってもヘラ