――医療過誤や、製薬会社との癒着による不正が相次ぐ。医療現場での経験から、現代の医療に警鐘を鳴らし続けてきた2人の医師、近藤誠氏と和田秀樹氏に話を聞いた。 【和田】2014年4月、日本人間ドック学会が150万人の健診受診者のデータをまとめた新たな「基準範囲」の中間報告を行い、医学会で大バッシングが起こりました。しかし、新基準範囲を批判していた高血圧学会や動脈硬化学会が主張するもともとの基準値は、自分たちで大規模な調査をして導き出したものではありません。これでは患者不在の医療です。 これまで私は精神科医として多くの高齢者を見てきましたが、少しでも認知症の兆候があると入院させ、投薬で治療するという医療には疑問があります。地域的なつながりが強く、多少の認知症でも閉じ込めたりしないような地域では、認知症の進行が遅い。もっとおおらかで高齢者が大切にされる環境をつくらなければいけません。 【近藤】高血