『風俗嬢の見えない孤立』(光文社新書)は、「どん底にある女性たち」の悲惨なエピソードを紹介するルポではない。むしろ、そうしたネガティブ一辺倒のイメージを取り払い、「性風俗」という強烈な爆煙の後ろに隠れている人々の実情を明らかにし、日本社会全体の課題を説く新書である。 著者の角間惇一郎氏は、風俗嬢のセカンドキャリアを支援する一般社団法人「GrowAsPeople」の代表理事。2010年に起きた大阪の二児置き去り死事件をきっかけに、それまで勤めていた大手ゼネコンを辞め、夜の世界の課題解決に身を投じた稀有な人物だ。 経験とデータを元にした文章はわかりやすく、なにより問題に対する考え方について視野を広げてくれる本だった。(文:okei) 見落とされがちな出口、「辞める時」を支援することの重要性 角間氏が5000人以上の風俗嬢と関わるなかで見えてきたのは、メディアでよく見る「貧困で風俗に落ちた女性」