2010年2月28日のブックマーク (2件)

  • 倉田百三 婦人と職業

  • 細井和喜蔵 モルモット

    一 永いあいだの失業から生活難に追われて焦燥し、のヒステリーはひどくこうじて来た。彼女はちょっとした事にでも腹を立てて怒る、泣く、そしてしまいのはてには物をぶち投げて破壊するのであった。そうかと思うとまた、ありもしない自分の着物をびりびりっと引き裂いて了う。 彼はそんな風に荒んだの心に、幾分のやわらか味を与えるであろうと思って、モルモットの仔を一つがい買って来た。牝の方は真っ白で眼が赤く、兎の仔のようである。そして牡の方は白と黒と茶褐色の三毛で眼が黒かった。 「おい、いいものを買って来たよ。」 「まあ! 可愛い動物だわねえ。それ、何をべるの?」 「草を、一番よろこんでべるって話しだ。」 「眼が、まるでルビーみたいねえ、何て綺麗に光るんだろう……早く草を取って来ておやりなさいよ。」 モルモット屋の小舎の中に、数千頭かためて飼われて、多くの友達をもっていた動物は、二頭だけ急にそこから引