<日銀の異次元緩和政策の出口局面に関する定番的批判に、「日銀債務超過論」がある。自民党の行政改革推進本部の「提言」も同様だ。これは結果としてデフレ脱却に向けた政府および日銀のこれまでの努力や成果をないがしろにするものだ> 日銀の異次元金融緩和政策に対しては、それはその出口で大きな金融上の混乱を引き起こすという定番の批判が存在する。筆者は本コラム「異次元緩和からの「出口」をどう想定すべきか」(2017年4月10日付)において、そのような批判は基本的に的外れであることを論じた。現在行われている異次元緩和政策の出口は、長期金利操作を通じてスムーズに行われることが予想されることから、金融市場の混乱がもたらされる可能性はきわめて少ないのである。 ところで、この出口に絡んだ異次元金融緩和政策へ定番的批判の系論の一つに、「日銀債務超過論」というものが存在する。それは、出口局面における日銀の財務に焦点を当