5月になった。中野に引っ越しをしてから3ヵ月が経っていた。 なんとなく気力が湧かず、狭い部屋の中でずっと膝を抱えて過ごしていた。 何日かそうしていると、夢とも現実とも覚束ない幻のようなものが眼前に浮かんでくるようになった。それは小学校の頃にケンカ別れした女の子の姿をしている時もあったし、かと思えばサードウェーブ系男子のような格好をしていることもあった。そして必ず、彼らは私に囁きかけるのだった。 「イルカは眠りながら泳ぎ続けることが出来る。ねえ、貴女はどう?」 あるとき友だちから電話が掛かってきたので、ついでにそのことを話してみた。幻が囁く言葉の意図を一緒に考えてくれると思ったからだ。 友だちはこう言った。 「中野まで迎えに行くから、今すぐ外へ出かけよう。遠出するのもいい。大丈夫、私が車を運転するから。とりあえず太陽の光を浴びに行こう、ね?」 しかし私は友だちの言葉を拒否した。思い通りのリア
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