1966年に旧清水市(現静岡市清水区)で起きた強盗殺人事件で、死刑が確定した袴田巌さんが釈放されて27日で1年。東京高裁で続く再審請求は審理終結のめどが立たない中、釈放後の生活には制度の壁が立ちはだかり、半世紀近くたって開示される捜査側の証拠も相次ぐ。刑事事件を巡る重い課題の現状を追った。【荒木涼子】 【写真特集】袴田さんに名誉チャンピオンベルト ◇年金受給資格も刑事補償もない 49年ぶりに塀の外で迎えた誕生日翌日の11日、袴田巌元被告(79)は姉秀子さん(82)から「またボクシング見に行こうか」と話しかけられると、「ああ。女のボクシングはスピードがあって無理がないな」と応じた。 浜松市の秀子さん宅にある南向きの部屋。会話はまだかみ合わないが、年間を通じて差し込む陽光で袴田さんは収監中より日焼けし血色もいい。出所後しばらくは室内を延々と歩き続ける不思議な行動が目立ったが、今は腰を落ち
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