人体を的確に表現するにはそれの内部構造を把握していなくてはならない、という正則美術教育の基本を初めて口にしたのはルネサンス期のイタリアの芸術家たちのようである。それまで「職工」の身分に甘んじてきた画師や彫工は「芸術家」という新しい社会的な地位を獲得するのに、自分たちの仕事の支えとなる体系的な理論や技術的な知識が必要であることを自覚し始めていた。たとえば、当時の人文主義的知性を代表するレオン=バッティスタ・アルベルティは『絵画論』のなかですでにこう述べている、「肢体を描くときは先ず最初に骨を描きなさい。骨はほとんど真直ぐで、つねに定位置にあるからだ。次に骨の上に腱や筋を加え、最後に肉と皮でそれらを被うことだ」[1]。 骨格を把握し、そこに腱や筋や肉を纏わせるには、もちろん、解剖学の知識が必要である。しかし、アルベルティが実際にそれを実践していたことを匂わせるものはない。むしろ、ジョルジォ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く