去る3月12日、福岡地裁久留米支部が準強姦の罪に問われた男性に下した無罪判決が波紋を呼んでいる。相手の女性は飲酒により「抵抗できない状態」にあったと認めながらも、なぜ男性を無罪としたのか。弁護士の野島梨恵氏が判決が下された背景を考察する。 福岡地裁久留米支部と静岡地裁浜松支部が、時を置かずして、強制性交などに関連する罪名に問われた被告人に対し、無罪判決を言い渡したとの報道が流れた。 いずれも、まだ判決全文が手に入らず、報道ベースの情報しかないが、まず、男性が準強姦罪1(平成29年の刑法改正前の名称。現在は準強制性交等罪)に問われた福岡地裁の判決では、「女性はテキーラなどを数回一気飲みさせられ、嘔吐して眠り込んでおり、抵抗できない状態だった」と、事実認定をしたものの、そのうえで、女性が目を開けたり、何度か声を出したりしたことなどから、「女性が許容している、と被告が誤信してしまうような状況にあ