それは某編集者の理不尽な一言から始まった。 「patoさんって守銭奴じゃないですか」 僕はこれほどまで失礼な第一声を知らない。普通はもっとこう、時候の挨拶などから入る第一声を放つべきじゃないだろうか。この言葉を放った人の名前を書くといろいろと問題があるので伏せさせてもらい、某編集者としたい。 「え、そうですか。そんなに守銭奴じゃないと思いますけど」 なんて失礼なやつなんだと動揺する心を抑えつつ、無難な切り返しをする。 「いやいや、守銭奴ですよ、いまだに酔っぱらうと、はるか昔に週刊ジャンプが10円値上げしてショックを受けた話をするじゃないですか。10円ですよ、10円。10円で3時間も恨みごとをいう人、初めてみましたよ」 たしかにいまだに根に持っているけど、それはお小遣いでジャンプを買っていた僕らには大打撃だったわけで、ショックで寝込んだし、編集部に苦情の電話も入れた。いまだに酔うとその時の恨