『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』(樋口耕太郎/光文社) 沖縄といえば、観光地の定番だ。きれいな海と、おいしいご飯。現地に住んでいる人たちの性格も穏やかだから、老後はああいうところに住んでみたい。そう思っている人も少なくないだろう。だが、「観光地」としての沖縄しか知らない私たちには、見えていない側面がある。 本書『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』(樋口耕太郎/光文社)は、外からは見えにくい沖縄の貧困と、その原因を探る本である。著者は、沖縄在住の事業家で、沖縄大学准教授も務める樋口耕太郎氏。16年間、那覇市内の某店に通い詰めた著者は、あらゆる境遇の沖縄県民と話してきた。そこで聞いた2万時間の会話に加え、学生たちのデータや、日々の生活から得た仮説をもとに、沖縄の貧困の正体を浮かび上がらせる。本書の内容を、少しだけ見てみよう。 クラクションを「鳴らせない」沖縄社会 沖縄ではクラクショ