低成長下の社会で不平等が広がることに警鐘を鳴らし、世界的な論争を巻き起こしている「21世紀の資本」の著者、トマ・ピケティ・パリ経済学校教授(43)が31日、来日を機に東京都文京区の東京大学で講義した。学生や教員ら約500人が参加し、活発な議論になった。 ピケティ氏は、資産家が得る運用益は、経済成長に伴って一般の人にもたらされる所得より大きく伸びると主張。低成長下の先進国では、放置すれば「持てる者」と「持たざる者」との格差が広がる、と訴えて注目された。 講義では、人口減少が進む日本や欧州では特に、相続する資産がものを言う「世襲社会」が復活していると指摘した。学生から望ましい税制について問われると、資産家であればあるほど高率の税を課す「累進課税」によって「若い人が資産を蓄えやすくなる一方、最上位の富裕層に富が集中しすぎないようにすることができる」と主張。比較的資産の少ない若い世代を優遇する税制