そもそも「生産性」とは何か 「日本の国立大学の研究論文は生産性が低い」 一部で物議を醸す主張を繰り返しているのは、財務省主計局次長の神田眞人氏である。神田氏は国公立大学の閉鎖性を問題視し、世界で通用するレベルの研究が進んでいないと指摘している。 毎年のようにノーベル賞受賞者を輩出している日本だが、たしかに生まれる研究論文の数は減ってきている。そのようななか、財務省は財政赤字を理由に研究機関への補助金を出し渋っている傾向にある。日本の研究環境を悪化させているのは財務省だと見る向きと、神田氏の主張、どちらが正しいのだろうか。 実際、他国と比較すると、2000年代以降、学会で日本の論文が注目・引用される回数が減っているのは明確だ。この実態と原因について、2つのデータ分析がある。 ひとつは、'90年代後半から公的研究資金の金額が伸び悩んだことに加え、研究資金の重点化(選択と集中)が進んだとされるも