最近、なぜか顧千里(1766-1835)のことが妙に気にかかり、台湾出張の間も顧千里の年譜一冊を読みながら過ごしていました。李慶氏『顧千里研究』(上海古籍出版社、1989年)を久しぶりに取り出して読んだのです。 顧千里の事跡が綿密に調べ上げられており、完成度の高い年譜であり、そればかりでなく、この書物を読むことで顧氏の学問と人生が浮かび上がるように書かれています。初めて読んだ時の感動が今回もよみがえりました。 その中でも、最も心にのこったのは、嘉慶5年(1800)の年末、35歳の顧氏が地元の蘇州を離れて杭州へと旅立つに際して、古くからの親友である戈襄が彼に贈った文章です。阮元(1764-1849)が十三経注疏の校勘を行うための一員として、顧千里を杭州に招いたのです。誇り高い仕事ではありますが、とかく純粋にすぎて人と合わない顧氏の性格を、戈襄は深く憂慮しました。 顧子行端潔、性剛果、故出語恒