「すきやばし次郎」といえば、オバマ大統領が来店を希望し、ドキュメンタリー映画が世界中で評判になり、予約が取れない三ツ星の鮨店として世界に知られている。どんなに旨いかは実際に食べてみないとわからないけれど、ジョエル・ロブションが「次郎のカウンターは天国に最も近い席」と称賛し、錚々たる三ツ星のシェフたちがこぞって尊敬するすきやばし次郎の仕事。たった10席のカウンター。三ツ星レストランの中でもトイレが共同という店はここだけ。それでも予約を断る電話は月に2000本という。「すきやばし次郎」の鮨にはどんな秘密が隠されているのだろうか? 御年91歳になる小野二郎さんは、8歳で奉公先の料理旅館で働き始めてから、今年で実働82年。今も毎日、付け台に立つ。より旨い鮨を食べてもらいたいと試行錯誤を続けた日々は、独自の職人哲学を育んできた。それが若い職人に技術として受け継がれ、仕事として表現され、鮨として供され