【新規発表事項】 NEDO技術開発機構の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として、九州大学大学院理学研究院の北田 栄 助教は、福岡県工業技術センター生物食品研究所との共同研究で、微生物毒素を利用し正常細胞に影響の少ない新しい抗がん治療の基盤技術を開発しました。人畜に無害な微生物Bacillus thuringiensis(Bt菌)の中に存在する毒素タンパク質(パラスポリン)が哺乳類動物由来の細胞を特異的に認識して破壊する特性を、がん治療に活用する試みです。年々増加している大腸がんの治療方法として、現在、主に内視鏡による摘出手術が用いられています。摘出後にパラスポリンを局所投与することで、万が一、未摘出のがん細胞があっても、これを効果的に死滅させ、がん再発や転移を防ぐ効果が期待できます。従来の低分子抗がん剤(注1)に比べて、がんに親和性の高いこの毒素抗がん剤では投与量を数千か