◇もっと科学的論議、深めよ 「エコナ」気になる感情論 花王が食用油エコナの販売を自粛し、トクホ許可を返上した。トクホとは飲料や食品などのマークでおなじみの特定保健用食品のことである。 これを巡って、山田泰蔵記者は10月20日の本欄で「消費者目線に立った消費者庁の果敢な行動力」を高く評価した。でも、消費者目線を気にしすぎて大切な科学的論議がおきざりにされたのではないだろうか。そこに感情や感覚優先のポピュリズム(大衆迎合)的危うさすら感じる。 まず、エコナ問題の発端を考えたい。今年3月、ドイツのリスク評価機関が注意喚起をしたことから始まる。 ――乳幼児の粉ミルクに使われる食用油に副産物のグリシドール脂肪酸エステルが含まれ、それが体内で発がん性物質のグリシドールに変わる可能性がある。 独政府が喚起したのは、私たちが日ごろ口に入れている食用油のことだ。花王が調べたところ、エコナに含まれる