山中伸弥さんが2006年にマウスの皮膚細胞からiPS細胞作成に成功して以来、日本社会ではiPSフィーバーがまきおこった。ことし山中さんにノーベル賞生理学・医学賞が与えられることで、フィーバーはさらに加速し、いまや日本はiPSセントリック(iPS中心主義)な社会にまっしぐらである。 もちろん、日本発の研究で初めて日本人にノーベル生理学・医学賞が授与されることはとても喜ばしいし、筆者もひとりの日本人として誇りに思う。しかし、同時に強い危惧も覚える。日本中がiPSのノーベル賞受賞で盛り上がっているときに大変申し訳ないとは思いつつ、このままiPSセントリックな状況が続くと日本の科学技術また医療産業は大変なことになると考えているので、ここで筆者の考えを読者と共有させて頂きたい。