「メイド・トゥ・オーダー」靴の受注をはじめたルイ・ヴィトンの、イタリアのヴェネツィア近郊にある美しいシューズ工房を訪れた。そこで見たものは何だったか? 文:鈴木正文 Photos: (c)LOUIS VUITTON ルイ・ヴィトンがヴェネツィアの西約30kmのブレンタ川沿いのフィエッソ・ダルティコに靴づくりのアトリエを構えたのは2001年のことだったが、このイタリア北部、ヴェネト州の小さな町はマルコ・ポーロが中国への旅を企てた13世紀には、高級な靴づくりをおこなっていたのだという。このころのヴェネツィアは地中海域でもっとも強大な政治的・経済的地位を手にしており、ヴェネツィアの富裕な貴族や商人のための靴が、ここで盛んにつくられたのだ。 フィエッソ・ダルティコを僕が訪れたのは、4月末のことだった。そのまえ数日にわたったクラシック・カーによるラリー競技、「ルイ・ヴィトン クラシック セレニッシマ