私たちが行動しようと思ったら,自分がどこにいるかを把握している必要がある。その情報を,脳はどのように得ているのだろう? 脳活動というのはつまるところ,脳神経細胞の集団的な発火だ。その信号から「空間内での自分の位置」という情報を得るのに,脳はどんな仕組みを備えているのか。 今年のノーベル生理学・医学賞は,そうした動物の空間把握のメカニズム研究の先駆けとなった英ロンドン大学ユニバーシティーカレッジのオキーフ(John M. O’Keefe)博士と,近年,この研究を一気に発展させて注目を集めたノルウェー科学技術大学のモーザー博士夫妻(May-Britt Moser,Edvard I. Moser)に授与されることが決まった。 オキーフ博士は1971年,ラットが部屋の中を歩き回っているとき,「右の隅」「左寄りの中央」など,ある特定の場所に来た時に発火する細胞を,海馬の中から発見した(右図)。ラット
![2014年ノーベル生理学・医学賞:空間を把握する脳のメカニズムを解明した3氏に](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b283e22ecd1caf616c45799c6296e0c2020625e7/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.nikkei-science.com%2Fwp-content%2Fthemes%2Fnikkeiscience%2Fimages%2Fog.png)