「ゆでガエル世代」──。日経ビジネスは、今の50代をこう命名する。50代の読者にとっては、不愉快な話だろう。しかし、現状を冷静に分析すれば、そう指摘せざるを得ない。カエルは熱湯に放り込むと驚いて飛び出すが、常温の水に入れ徐々に熱すると水温変化に気が付かず、ゆで上がって死んでしまう。この寓話はまさに、今の50代、とりわけ多くの男性の会社人生にそっくりだ。彼らの会社人生はバブル経済到来とともに
その昔――といっても1999年くらいのことだが――就職活動をろくにしなかった私は、呼ばれるがまま名門商社で働く先輩の話を聞きにいった。スーツを着慣れず、商社が何をするところかもほとんど理解していなかった大学生の私は質問をなんとかひねり出し続けた。 そのほとんどは覚えてさえいない。ただ1つだけ覚えているのは、「商社冬の時代と言われますが、将来はあるのでしょうか」と若者特有の無礼な質問をしたときだった。先輩は、せせら笑うかのように「そうだね。冬の時代っていうのは、何十年も言われているんだよね」といった。先輩の、先輩の、さらに先輩の時代から冬の時代だったのだ、と。 私はその後、就職活動を全くせずに、電機メーカーで職を見つけ、資材係に就くことになった。資材係とは、メーカーの生産に使う部品や材料やらを買い集める、あれである。当時の職場は、ひたすら取引先に電話をかけたり、ひたすら面談を繰り返したりして
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